2024年05月27日
『TriMath』✖️『Remolink』で多品種取扱い現場の「自動化の壁」を解決!価値を発揮し続ける自動化とは?
多品種取扱現場では製品種類の多さ・製品の追加頻度の高さからロボット導入を断念されている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
本記事ではリモートロボティクスのロボット技術パートナー企業である東京エレクトロンデバイス 佐野さんをゲストにお迎えして開催したウェビナー
「”多品種取扱い現場は自動化に向かない”を覆す!
成長型ビジョンオートメーションシステム「TriMath」×リモートが創り出す価値を発揮し続ける自動化とは」
の内容を一部抜粋してお届けします。
人手不足とロボット導入の現状
ロボットの導入による自動化は、生産性向上や人手不足の課題解決につながる一方、細かな変更や調整に対応できないと言う課題があります。
ウェビナー参加者に向け、アンケートを実施したところ
人手不足の課題はありますか?という問いに対し、38%の方が「まさしく今困っている」と回答した一方、
人手不足解消の1つの解決策であるロボット導入の経験は?という問いに対して「導入済み」と回答した方は25%に留まり、12%の方は「検討したが導入できなかった」という結果になりました。
たとえば、多様な顧客ニーズに応えるため、数点だけ生産する製品がある場合、稼働中のロボットのティーチングプログラムを修正するのは非効率です。あるいは、リサイクル業界などでは、扱うものの形や大きさが一定でないケースが多く、ロボットに行わせる作業を定型化できないために自動化自体が難しい場合もあります。
このような人手不足な一方、完全自動化が難しい現状の課題を解決するのが、ロボットの遠隔操作におけるプラットフォームサービス「Remolink(リモリンク)」です。「ロボットによる自動作業」と「人による認識・判断」を掛け合わせることで、これまで現場の自動化の壁となっていた、さまざまな課題にアプローチします。
今回は、成長型ビジョンオートメーションシステム「TriMath」を提供する東京エレクトロンデバイス・佐野様をゲストにお招きし、多品種取扱い現場における自動化の課題、TriMathの特徴、RemolinkとTriMathを組み合わせることによる相乗効果について解説していただきました。
東京エレクトロンデバイスは1986年、技術商社である東京エレクトロンから独立し、神奈川県横浜市に本社を設立。「コンピュータシステム関連事業」、半導体・電子デバイスを取り扱う「EC事業」、自社PBの開発・販売を行う「プライベートブランド事業」の3つの事業を展開しています。また、プライベートブランド事業では、受託開発、製造サービスの提供などを行う設計者向けの「Design and Manufacturing ServICe事業」と、利益化を推進する予知保全、品質改善や計測・検査、ロボティクス製品などを取り扱う「Digital Factory Solution事業」を行っています。
多品種取扱現場でのロボットシステム導入の課題
東京エレクトロンデバイスが考える多品種取扱い現場でロボットシステム導入が進まない理由は大きく3つあります。
①導入時コスト
現場ごとに製品が異なることはもちろん、ロボット導入を想定された環境ではないため、現場ごとに適したシステム検討や機器選定が必要であり、新規設計費や検討工数を要する
②ワークの認識
多品種であることに加え、不定形形状というケースも多く、どうすれば正確にワークを認識できるかが課題
③導入後コスト
ロボットシステム導入後、新製品対応のためのワークの追加登録や品質改善のためのセンサー類追加が必要な場合、都度施工メーカーに依頼し外注費が発生
ビジョンシステムからロボットを動かす場合、周辺機器との連携も必要で、3Dカメラを使う現場では、カメラ・PLC・システム設計費で1000万円を超えてしまうという話もよく耳にします。
また、ビジョンメーカーに相談しても、画像認識が難しい場合は諦めてしまうケースも少なくありません。
多品種取扱い現場では導入時から導入後まで多くのコストが発生しやすく、人の判断部分のシステム化における技術面での課題も多く、自動化促進の阻害要因となっています。
成長型ビジョンオートメーションシステム「TriMath」とは?
前述したような多品種取扱現場の課題を解決するのが、ロボットシステムを構築するための制御システムおよび操作盤とビジョン機器を一体化した、成長型ビジョンオートメーションシステム「TriMath」です。
TriMathを一言に集約すると、「人のように現場で柔軟に対応できるシステム」と言えます。導入時は標準化された成長型機能で、システムセットアップの内省化から有事の際の動作手順変更や多品種ワーク対応を可能とします。また、導入後からは、新製品登録、ロボットの追加、作業手順の見直しやセンサーの追加といった現場の改善に関しても現場で対応することが可能です。
TriMath3つの特徴
TriMathには、以下のような3つの特徴があります。
●「現場で対応できる成長型機能」
ワーク管理機能と動作編集機能、2つの機能を標準実装しております。ワーク管理機能では、ワークの追加登録、削除に加え、認識精度を上げる追加学習が可能。動作編集機能では、動作シーケンスの順番変更、動作・機能の追加、削除ができます。
●「独自制御でロボットシステムを簡単にセットアップ」
独自のアプリケーションでロボットコントローラー、ビジョン機器、センサーの制御および付帯設備PCや制御盤と連携できるため、導入時の設計を最小限に抑えることが可能です。
●「画像処理AIでワークを器用に認識・識別」
ワークの形状や仕分けルールに適した、機器選定から活用技術までの検討から導入までサポートします。多品種・不定型物の製品を登録し、製品と廃材を見分けする特徴点マッチング、内容物によって形状が変化してしまう材料袋の識別などの事例があり、画像処理技術の組み合わせより、他の事例にも対応可能です。
TriMathを活用しても残る完全自動化の課題
一方で、TriMathを活用しても、一般的なロボットシステムと変わらず残ってしまう以下のような課題もあります。
●運用時のルールに適したシステム設計が必要
●画像処理技術の限界
・カメラを活用する限り解決できない課題あり
・大量の学習データが必要
●不具合発生時の課題
・現場の状況がわからない
・現場にいかなければリトライ可否が判断できない
●システム構築時の検証・検討不足による不具合発生リスク
『TriMath』✖️『Remolink』 組み合わせによる相乗効果とは
では、TriMathとRemolinkがコラボした場合について解説します。
①導入時のメリット
まず、導入時に発生する高難度認識・判断をRemolinkの活用によって人に置き換えることができます。異常発生時や人による判断が必要な時にはRemolinkのミッション通知機能が知らせてくれるので、ロボットシステムを簡素化できます。
頻度の低いワークや登録されていないワークは人がリモートで処理することが可能なので全てのワークを登録する手間が不要です。
②導入後のメリット
導入後は、TriMathの成長型機能によって頻度の低いワークを徐々に追加学習することで自動で対応できるワークを増やしていけます。異常発生時はカメラで現場を撮像できるため、Remolinkで人が遠隔からリトライ可否判断、ピッキング座標の指示、仕分け先の選択も可能に。現場まで足を運ばずとも対処できる可能性がぐっと上がります。また、その場で認識異常があったワークを確認できるため、その画像が追加学習に必要なものなのか、イレギュラーなもので学習が不要なのかという判断ができ、追加学習の精度も向上します。
多品種取扱い現場 『TriMath』✖️『Remolink』デモ
実際に多品種取扱い現場を再現したデモ動画をお見せします。今回は、不定型物である石とブロックを色で識別し、仕分けする内容です。
<TriMathでの仕分け>
TriMathのみでの動作を見てみましょう。3Dスキャンでワークスキャンを行い、撮像した画像を元にワークピッキング対象を選定します。次に、実際にピッキングを行いつつ、次のワークをスキャンします。2Dカメラが色識別を行い、仕分け先を判断して仕分けをしていきます。 ブロックと木材は同じ茶色なので、同じケースに。石は茶色ではないので、別のケースに仕分けします。
<『TriMath』×『Remolink』による多品種ワークの仕分け>
次に、Remolinkを活用したデモ動画です。
映像の左側がRemolinkアプリ画面、右下が現場のロボットの様子です。
Remolinkアプリ画面左上の「ワークスキャン」ボタンをクリックすると右上のカメラ画像が最新の状況に更新されます。例えば石をピックして仕分けしたい場合には、カメラ画像上でピックしたい石の位置を指定し、画面左下のピック対象から「Stone」を選択すると、指定位置にロボットがワークを取りに行き、石のケースに仕分けされます。次にカメラ画像上でピックしたいブロックの位置を指定し、ピック対象を「Block」と選択するとブロックはブロックのケースに仕分けされます。このように多品種の取扱いにおけるワークの認識と仕分け先の判断をリモート環境から人が簡単に行えます。
導入して終わりではない、「価値を発揮し続ける自動化」とは?
多品種取扱の現場は、ワークの種類や人による判断に頼った作業が多いため、完全に自動化しようとすると、どうしても複雑なシステムになってしまいます。結果として、導入時のコストが増大するだけでなく、対応できる技術者も限られ、新製品への対応や運用の変更時にも都度コストが発生し続けてしまうのです。
TriMathとRemolinkを組み合わせた自動化であれば、お客様自身の認識・判断で現場に適した運用が実現できるため、導入時・導入後のコスト発生を最小に抑え、導入設備の価値を発揮し続ける環境を作り出すことが可能です。
本ウェビナーのアーカイブ動画は以下よりご視聴頂けます。ぜひ動画もご覧ください。